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CAP-CによるDNAの直接的な架橋が転写依存的なクロマチン構造を高分解能で解明する

Nature Biotechnology 39, 2 doi: 10.1038/s41587-020-0643-8

細胞内のクロマチンの空間的構造の解明には、概して架橋に基づく3C法(chromosome conformation capture)技術が用いられるが、こうした方法の分解能と信号対ノイズ比はDNA結合タンパク質からの干渉によって制約を受ける。本論文で我々は、サイズの決まった多官能価化学架橋剤を用いてクロマチンの接触を捕捉する方法であるCAP-C法(chemical-crosslinking assisted proximity capture)を紹介する。CAP-Cは、キロ塩基未満の分解能でクロマチン接触マップを生成し、バックグラウンドノイズが低い。我々は、ホルムアルデヒドで前固定したマウス胚性幹細胞にCAP-Cを用い、ループドメイン(サイズの中央値は200 kb)と非ループドメイン(同9 kb)を調べた。非ループドメインでは、ループドメインと比較して、転写阻害が接触を大きく減少させた。我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)からヒトまで共通する保存された転写状態依存性のクロマチンのコンパートメント化を高分解能で明らかにし、複数の非ループドメインをごく近距離に集める転写開始依存性の核サブコンパートメントを見いだした。我々はまた、CAP-Cを用いるとホルムアルデヒド前固定なしで本来のクロマチンのコンフォメーションを検出できることも示した。

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