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マイクロメートル分解能でのアカゲザル全脳のハイスループットマッピング

Nature Biotechnology 39, 12 doi: 10.1038/s41587-021-00986-5

霊長類は脳のサイズが大きく、利用可能な顕微鏡法の処理能力が相対的に低いため、全脳のメソスケールマッピングが進んでいない。本論文では、霊長類用に最適化された組織切片作製と透明化を、連続走査(on-the-fly-scan)と読み出しの同期技術によって改良型の立体イメージングを行う超高速蛍光顕微鏡法と組み合わせた手法を紹介する。この手法は、1 × 1 × 2.5 μm3のボクセル分解能でのアカゲザル全脳イメージングを100時間以内に完了することができる。また、数百テラバイトに上るデータセットにおいて疎な軸索繊維の長距離追跡を行う極めて効率的な方法も開発した。SMART(serial sectioning and clearing, three-dimensional microscopy with semi-automated reconstruction and tracing)と命名したこのパイプラインは、霊長類の大きな脳をコネクトーム規模で効果的にマッピングすることを可能にする。SMARTを用いることで、視床背内側核の皮質の投射マップを構築し、皮質のひだにおいて分枝形成の末端に向かう個々の軸索の明確な転回と配線のパターンを明らかにすることができた。

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