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循環腫瘍DNAのフェージングされたバリアントの選択的塩基配列解読による微小残存病変の検出増強

Nature Biotechnology 39, 12 doi: 10.1038/s41587-021-00981-w

循環腫瘍由来DNA(ctDNA)は多くのがんで新たなバイオマーカーとなっているが、従来の検出法は感度が低いことから、微小残存病変の診断に関する有用性は限られている。本論文では、個々のDNA断片中の複数の体細胞変異を用いてctDNAの検出感度を改善するPhasED-seq(phased variant enrichment and detection sequencing)という方法を紹介する。2538の腫瘍の全ゲノム塩基配列を利用することで、フェージングされたバリアントと、それらと変異シグネチャーとの関連が見いだされた。PhasED-seqの検出限界は、分子バーコードを使用せずとも二本鎖バーコーディング法などの従来法に勝っており、参加者の検体のctDNAがppmの領域で検出されることが示された。我々は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療前および治療中の連続的無細胞DNA検体を含め、B細胞リンパ腫の患者213人の678検体のプロファイリングを行った。ディープシーケンシングによるがんの個別化プロファイリング(cancer personalized profiling by deep sequencing;CAPP-seq)と呼ばれる次世代塩基配列解読法に基づく方法で、2サイクルの治療の後にctDNAが検出されなかった患者では、PhasED-seqで新たに25%でctDNAが検出され、その転帰は不良であった。最後に、PhasED-seqは固形腫瘍に応用可能であることが実証された。

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