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Smart-seq3によるアレルおよびアイソフォームの分解能での単一細胞RNA計数

Nature Biotechnology 38, 6 doi: 10.1038/s41587-020-0497-0

個々の細胞のRNAの大規模な塩基配列解読は、さまざまな種類や状態の細胞の遺伝子、アイソフォーム、およびアレルの発現パターンを明らかにすることができる。しかし、現在のショートリード単一細胞RNA塩基配列解読法はアレルやアイソフォームの分解能でRNAを計数する能力に限界があり、ロングリード塩基配列解読技術はさまざまな細胞への大規模な応用に必要な深度が不足している。本論文では、完全長トランスクリプトームの網羅を、1細胞当たり数千個のRNA分子のin silico再構築を可能にする5′固有分子識別子RNA計数法と組み合わせた、Smart-seq3法を紹介する。計数および再構築を行った分子のうちの60%はアレル起源に、30~50%は特定のアイソフォームに直接割り当てられ、異なるマウス系統やヒト細胞タイプでアイソフォームの利用に大きな差異があることが明らかになった。Smart-seq3はSmart-seq2と比較して感度が大幅に向上し、検出する転写産物は概して1細胞当たり数千個多くなった。Smart-seq3は、さまざまな組織や生物で細胞の種類と状態の大規模な評価を可能にすると考えられる。

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