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都市農業用のナス科果菜類作物の迅速カスタム化

Nature Biotechnology 38, 2 doi: 10.1038/s41587-019-0361-2

都市環境での作物栽培は、食料生産による環境への影響を緩和する可能性がある。しかし、都市部では利用可能な土地が不足し、素早く連続的に収穫するには作物の迅速な回転が必要であるため、都会の農場ではレタスやそれに類する葉菜類(葉物野菜)ばかり栽培されているのが現状である。形状および収量が都市農業に適する新たな果菜類品種は育種が困難となっている。我々は、トマトの草丈の調節因子(SIER)を発見し、短いシュート、迅速な開花(SP5G)、および早熟の生育停止(SP)を生じる変異を組み合わせる形質累積戦略を考案した。ワンステップのCRISPR–Cas9ゲノム編集による我々の戦略を用いることにより、つる植物様のトマトを都市農業に適した小型で早収の植物に変身させた。収量が維持されていることが圃場データで確認され、屋内農業施設での栽培が実証された。別のナス科植物であるホオズキで同じ草丈調節因子のみを標的化したところ、同じく短稈に改変することができた。この手法は都市農業用作物のレパートリーを広げることができる。

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