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ヒト多能性幹細胞からのヒト線条体オルガノイドおよび皮質線条体アセンブロイドの作製

Nature Biotechnology 38, 12 doi: 10.1038/s41587-020-00763-w

皮質線条体投射は、動機付け行動を調節する前脳回路の重要な構成要素である。我々は、ヒトの皮質線条体経路の研究や、この経路の機能不全が神経精神疾患をどのように引き起こすのかについての研究を可能にするために、ヒト多能性幹細胞を、発生中のヒト線条体に類似した、電気的活性を有する中型有棘ニューロンを含む領域特異的な脳オルガノイドに変換する方法を開発した。そして我々は、これらのオルガノイドを三次元培養で大脳皮質オルガノイドと共に集合させ、皮質線条体アセンブロイド(Assembloid)を形成させた。無処理のアセンブロイドやスライスしたアセンブロイドにウイルスによる追跡や機能解析を用いることで、皮質ニューロンが線条体オルガノイド内へ軸索投射を送り、シナプス結合を形成することが示された。中型有棘ニューロンは、集合後に電気生理学的に成熟し、皮質ニューロンに光遺伝学的刺激を行うとカルシウム活動を示した。さらに我々は、染色体22q13.3の欠失を原因とする神経発達障害患者から皮質線条体アセンブロイドを樹立して、カルシウム活動における疾患関連した異常を捉らえており、この手法が患者由来細胞を用いた皮質線条体の結合性の発達と機能的集合の研究を可能にすることを示した。

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