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GRF–GIFキメラタンパク質がトランスジェニック植物の再生効率を改善する

Nature Biotechnology 38, 11 doi: 10.1038/s41587-020-0703-0

ゲノム編集で作物の農業生産力が向上する可能性は、植物の再生効率の低さと形質転換可能な遺伝子型の少なさによって制限されていることが多い。今回我々は、コムギのGROWTH-REGULATING FACTOR 4(GRF4)とその補因子GRF-INTERACTING FACTOR 1(GIF1)を組み合わせた融合タンパク質を発現させると、コムギ、ライコムギ、およびイネの再生効率と再生速度が大幅に高まり、形質転換可能なコムギの遺伝子型の数が増加することを示した。GRF4–GIF1トランスジェニック植物は稔性を有し、明白な発生異常は認められなかった。さらに、GRF4–GIF1は外来のサイトカイニンによらずにコムギの効率的な再生を誘導しており、選択マーカーによらないトランスジェニック植物の選択が容易になる。また、GRF4–GIF1にCRISPR–Cas9ゲノム編集を組み合わせることにより、遺伝子QAP2L-A5)が破壊されたゲノム編集コムギ植物が30点得られた。最後に、双子葉植物のGRF–GIFキメラが再生効率を高めることが柑橘類で示され、この手法が双子葉作物に適用できることが示唆された。

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