Letter

MALDI-MSによる鼻腔スワブ中のSARS-CoV-2の検出

Nature Biotechnology 38, 10 doi: 10.1038/s41587-020-0644-7

逆転写(RT)-PCRをはじめとする先進的な方法による重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検出は、高い正確度が得られる。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の渦中にあって、大規模な検査を行うための十分な資源を持たない国々では、その適用は限られている。本論文では、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)と機械学習解析を用いて鼻腔スワブ中のSARS-CoV-2を検出する方法を紹介する。この方法で使用する装置や専門技術は、開発途上国の臨床検査室に広く見られるものである。我々は、3つの異なる検査室に由来する未調製の検体全362点(RT-PCRによるSARS-CoV-2陽性検体211点、陰性検体151点)の質量スペクトルを得た。我々は、2種類の特徴選択法と6種類の機械学習法を検討して、最も性能が高い解析法を突き止め、SARS-CoV-2検出の正確度を判定した。正確度が最高であったのはサポートベクターマシンモデルで(93.9%)、その偽陽性率は7%、偽陰性率は5%であった。今回の結果は、MALDI-MSと機械学習解析が鼻腔スワブ検体中のSARS-CoV-2の確実な検出に使用できることを示唆している。

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