Analysis

がん患者の非腫瘍試料で獲得されている染色体変化の大規模解析

Nature Biotechnology 38, 1 doi: 10.1038/s41587-019-0297-6

体細胞変異を持つ細胞亜集団が存在する「モザイク現象」は疾患や加齢と関連し、腫瘍近傍の見かけ上正常な細胞を含めてさまざまな組織に見いだされている。我々は、モザイク現象を大規模に解析するために、がんゲノムアトラスに由来するがん部位27カ所の一見正常な腫瘍近傍(NAT)組織試料1708点および血液試料7149点を対象として、ハプロタイプ特異的な体細胞コピー数変化(sCNA)の調査を行った。その結果、各組織には、染色体腕の全体に広がるものを含め、sCNAの頻度、負荷、および種類に関してかなりのばらつきが認められた。NAT組織と近傍腫瘍で一致するsCNA(共通のクローン起源を示唆する)、およびNAT組織と腫瘍組織の両方が異なる親ハプロタイプから並行して生じた同一のがん遺伝子を獲得している例が示された。以上の結果は、がん細胞の近傍に発がん過程が存在する「広域発がん(field cancerization)」の特徴である全組織的な変異を知る手がかりとなる。

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