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CRISPRおよび内在性クロマチン機構を動員する小分子を用いて遺伝子発現の用量依存的活性化を実現する

Nature Biotechnology 38, 1 doi: 10.1038/s41587-019-0296-7

遺伝子発現はCRISPR–Cas9系を用いて活性化したり抑制したりすることができる。しかし、外来性の転写調節タンパク質を用いずに遺伝子発現を用量依存的に活性化させることができるツールは存在しない。本論文では、内在性のクロマチン活性化装置の構成要素を動員することによって標的遺伝子の発現を活性化させるようにした化学的エピジェネティック修飾系(CEM)を紹介する。これは、外来性の転写活性化因子を不要とするものである。この系は2つの要素で構成される。それは、FK506結合タンパク質(FKBP)と複合体を形成した触媒不活性Cas9(dCas9)、および細胞のエピジェネティック装置と相互作用する分子に結合したFK506によって成り立つCEMである。CEMは、標的の内因性座位で遺伝子に依存して遺伝子発現を20倍またはそれ以上に上方制御することが示された。さらに、転写活性化の用量依存的制御、複数の多様な遺伝子にわたる機能、CEM活性の可逆性、およびゲノム全体にわたるクラス最高のCEMの特異性も実証された。

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