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ナノポアメタゲノミクスが細菌性下気道感染の迅速臨床診断を可能とする

Nature Biotechnology 37, 7 doi: 10.1038/s41587-019-0156-5

細菌性の下気道感染(LRI)の臨床診断では培養法が標準だが、これは感度が低く、時間がかかりすぎるため、標的化抗菌剤治療を早期に導入することができない。メタゲノム塩基配列解読法は、LRIの病原菌を培養法よりもはるかに迅速に特定できる可能性があるが、この手法を実施するには、検体に含まれる大量のヒトDNAを除去する方法が必要となる。今回我々は、細菌性LRIを診断するメタゲノミクス手法を開発した。この方法は、サポニンによる効率的な宿主DNA除去およびナノポア塩基配列解読を特徴とする。試験的な方法を検体40点で検討し、最適化を行ってさらに41点の検体で検証した。最適化された方法(検体採取から結果まで6時間)は、培養法と比較して、病原体検出の感度が96.6%、特異度が41.7%であり、抗生物質耐性遺伝子を正確に検出することができた。確認のための定量的PCRおよび病原性共生生物特異的遺伝子の解析を行うと、特異度および感度は100%に上昇した。ナノポアメタゲノミクスは、細菌性LRIの特徴をすばやく正確に評価することができ、広域抗生物質の使用の抑制に寄与する可能性がある。

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