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混合細菌群中の抗生物質耐性細菌は遺伝子組換えによる毒素–インテイン抗菌剤で選択的に狙って殺すことができる

Nature Biotechnology 37, 7 doi: 10.1038/s41587-019-0105-3

宿主の微生物相のうち有用なものに悪影響を与えずに病原性細菌を選択的に殺すことは、抗菌剤による腸内細菌相異常と抗菌剤耐性出現の両方を抑制しながら疾患を治療する戦略として有望である。我々は、インテインで分割された毒素を作製し、接合によって混合細菌群に導入した。この毒素–インテイン抗菌剤は、特定の転写因子を有する細菌の中でのみ活性化される。この抗菌剤を、混合細菌群中の抗生物質耐性コレラ菌Vibrio choleraeを特異的に狙って殺すために利用した。そのプラスミドを受け取った抗生物質耐性V. cholerae は100%死滅することが明らかになった。殺傷を逃れる変異体(エスケープミュータント)はごくまれであった(10−6~10−8)。標的細菌の接合および特異的殺傷は、Vibrio属種の天然の宿主であるゼブラフィッシュおよび甲殻類幼生の微生物相で起こることが示された。インテインで分割された毒素は、抗生物質耐性の病原菌を標的とする精密抗菌剤の基盤となる可能性がある。

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