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任意の生物のRNA–タンパク質相互作用のOOPS法による網羅的同定

Nature Biotechnology 37, 2 doi: 10.1038/s41587-018-0001-2

RNA結合タンパク質(RBP)を同定する既存のハイスループット法は、ポリアデニル化RNAの捕捉に基づいているため、長鎖ノンコーディングRNA、mRNA前駆体、および細菌RNAなどの非ポリアデニル化RNAと相互作用するタンパク質を回収することができない。本論文では、ポリアデニル化RNAの分子標識または捕捉を必要としないOOPS(orthogonal organic phase separation)法を紹介する。OOPS法を用いることにより、架橋結合したタンパク質–RNAと遊離タンパク質、またはタンパク質結合RNAと遊離RNAが偏りなく回収された。OOPS法をヒト細胞株HEK293、U2OS、およびMCF10Aで検証した結果、回収されたタンパク質の96%がRNAに結合していることが明らかになった。全ての長鎖RNAがタンパク質に架橋結合されることが示され、新規と推定される926種類を含む1838種類のRBPが回収された。OOPS法の効率は既存の方法の約100倍であり、動的なRNA–タンパク質相互作用の分析を実現することができる。我々は、ノコダゾールで停止させた哺乳類細胞でのRNA–タンパク質相互作用の動的変化も解析し、大腸菌( Escherichia coli )の細菌RNAインタラクトームも示した。OOPS法は下流のプロテオミクスやRNA塩基配列解読との相性もよく、任意の生物に応用することが可能である。

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