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同一細胞のトランスクリプトームとクロマチン接近可能性のハイスループット塩基配列解読

Nature Biotechnology 37, 12 doi: 10.1038/s41587-019-0290-0

単一細胞のRNA塩基配列解読は細胞の転写状態を明らかにすることができるが、オープンまたは接近可能なクロマチン領域に関連する上流の調節の全体像はほとんど知ることができない。同一細胞内の接近可能なクロマチンとRNAとを合わせてプロファイリングすれば、転写調節とその出力結果とを直接対応させることが可能になると考えられる。本論文で紹介する液滴SNARE-seq(single-nucleus chromatin accessibility and mRNA expression sequencing)は、細胞のトランスクリプトームとその細胞の接近可能なクロマチンとを結び付けて大規模な配列解読を行うことができる方法である。具体的には、透過化処理した核の接近可能部位がTn5トランスポザーゼによって捕捉され、同時に多数の液滴内で同一細胞のmRNA分子と共にDNAバーコードで標識される。SNARE-seqの有用性を実証するため、新生仔マウスの大脳皮質の細胞5081個と成体マウスの大脳皮質の細胞1万309個から複合プロファイルを得た。その結果、主要な細胞型と希少な細胞型のトランスクリプトームとエピジェネティクスの全体像が再現され、特に低存在量の細胞で系統特異的な接近可能部位が明らかになり、神経発生中のプロモーター接近可能性の動態と転写レベルが関連付けられた。

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