Review Article

免疫細胞療法のための遺伝子編集

Nature Biotechnology 37, 12 doi: 10.1038/s41587-019-0137-8

B細胞抗原CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作された自家T細胞は、B細胞悪性腫瘍患者で著明な臨床反応を生じ、現在は抗がん「剤」として市場に投入されている。こうした成功を受けて免疫細胞工学の分野は急速に成長しつつあり、標的抗原選択の限界、厳しい腫瘍微小環境、自家治療用細胞の生成に関する輸送上の問題といった大きな未解決課題に対して創造的な解決策が示されている。遺伝子導入と遺伝子編集技術の進歩に伴い、抗原受容体の設計に関する技術革新は、優れたセンシング回路と人工的な機能を有する汎用的な量産型細胞製品として使用されるT細胞の作製を可能にした。こうした技術はナチュラルキラー細胞をはじめとする免疫細胞、造血細胞、または人工多能性幹細胞に用いられており、多くのがんを含む各種の疾患の治療法を変容させる可能性は目に見えて刺激的である。本総説では、前臨床段階にあって影響力の大きい複数の技術革新のパイプライン、そうした次世代の方法の臨床試験で得られた初期のトランスレーショナルな成果、遺伝子改変または遺伝子編集による細胞療法の見通しについて論じる。

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