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自己組織化ニュールロイドが外胚葉区画でハンチントン病の発生学的側面をモデル化する

Nature Biotechnology 37, 10 doi: 10.1038/s41587-019-0237-5

ヒト胚性幹細胞が正常および異常な発生を模倣する能力を標準化モデルで利用することは、差し迫った課題である。今回、マイクロパターン技術を用いて、多数のほぼ同一の構造「ニュールロイド(neuruloid)」でヒトの初期神経胚形成を再現した。二重SMAD阻害法とそれに続く骨形成タンパク質4(BMP4)刺激によって、神経前駆細胞、神経堤、感覚プラコード、および表皮を有するニュールロイドの自己組織化が誘導された。単一細胞トランストクリプトミクスによって、厳密な細胞の種類および運命指定のタイミングが明らかにされた。ニュールロイドの自己組織化の分子機構を調べた結果、端部でpSMAD1のパルスが生じて表皮を誘導し、それが中央部の神経運命に近接することで神経堤およびプラコードが指定されることが明らかになった。その調節は繊維芽細胞増殖因子およびWntが行っている。ニュールロイドは、ヒト疾患の発生学的側面を研究するための恰好の機会を提供する。我々は、同質遺伝子のハンチントン病のヒト胚性幹細胞およびディープニューラルネットワーク解析を用いることにより、今回のヒト初期発生モデルで変異型ハンチンチンタンパク質の結果として特定の表現型シグネチャーがどのように出現するのかを明らかにし、表現型薬物スクリーニングの手法の概略を示した。

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