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ポリメラーゼ・ヌクレオチド複合体を用いるde novo DNA合成

Nature Biotechnology 36, 7 doi: 10.1038/nbt.4173

オリゴヌクレオチドの合成は、ほぼ例外なくヌクレオシドホスホロアミダイト法によって行われているが、直接合成するのは200塩基程度が限度であり、有害廃棄物が発生する。本論文では、鋳型非依存的なポリメラーゼである末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(TdT)を用いるオリゴヌクレオチド合成法を紹介する。各TdT分子にはデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)1分子が結合しており、そのdNTPがプライマーに取り込まれる。結合したdNTPを取り込んでも、プライマーの3′ 末端はTdTに共有結合したままで、他のTdT–dNTP分子と接触することができない。取り込まれたヌクレオチドとTdTとの結合が切断されると、プライマーは遊離し、続いて伸長反応が起こる。TdT–dNTP複合体は、ヌクレオチド1塩基ごとに10~20秒でプライマーを定量的に伸長させることができ、この機構の反復によって目的の配列が合成されることが示された。この方法は酵素的オリゴヌクレオチド合成法の基盤になると考えられる。

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