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リードクラウドのアセンブリーによる未培養微生物の質の高いゲノム配列

Nature Biotechnology 36, 11 doi: 10.1038/nbt.4266

マイクロバイオーム試料のショットガンメタゲノム塩基配列解読では、系統レベルの群集構造を部分的に再構築することはできるが、分離および培養を行わずに質の高い微生物ゲノムの概要配列を得ることは今なお困難である。本論文では、長距離情報のタグを付けたショートリード配列群であるリードクラウドの、マイクロバイオーム試料への応用について示す。また、リードクラウドを用いてメタゲノムアセンブリーを改善するde novoアセンブラーAthenaを紹介する。この方法を用いて健常者2人の糞便試料の塩基配列解読を行い、その結果をショートリードおよび合成ロングリードを用いる既存のメタゲノム配列解読技術と比較した。リードクラウドメタゲノム配列解読とAthenaアセンブリーでは最も網羅的な個別ゲノム概要配列が得られ、未補正のショートリード配列のカバー率が比較的低い(20倍)細菌でも連続性は高かった(N50 > 200 kb、コンティグは10個未満)。また、複雑な海底堆積物試料の塩基配列解読を行ったところ、中程度の質(完成度70%超、コンタミネーション10%未満)のゲノム概要配列が24本得られ、そのうち9本は完全なもの(完成度90%超、コンタミネーション5%未満)であった。この方法により、培養を行わずに1回のショットガン実験で質の高い微生物ゲノム概要配列を得ることが可能となる。

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