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ペア細胞塩基配列解読法で肝臓内皮細胞の遺伝子発現が空間的にマッピングされる

Nature Biotechnology 36, 10 doi: 10.1038/nbt.4231

空間分解型の単一細胞RNA塩基配列解読法(scRNAseq)は、細胞の種類と組織内での位置の関係を推測する強力な手法である。最近我々は、scRNAseqを空間的にマッピングされた目印遺伝子と組み合わせることにより、肝細胞の発現分布を推測した。しかし、小さな細胞でmRNA含量が少なかったり、目印遺伝子が高発現していなかったりする場合、分布を決定するのは依然として難しい。今回我々は、ペア細胞塩基配列解読法を用いた。これは、くっつき合った一対のマウス細胞のmRNA塩基配列解析を行い、一方の細胞型の遺伝子発現を用いてもう一方の細胞の組織内配置を推測するという方法である。我々はこの方法を、肝細胞と肝臓内皮細胞(LEC)のペアに用いた。肝細胞の空間情報からLECの分布を再現して目印遺伝子パネルを引き出し、これをLECのscRNAseqデータの空間的マッピングに用いた。この方法により、WntリガンドとWntアンタゴニストDkk3はいずれも、中心周囲の異なるLEC亜集団で発現していることが明らかになった。この方法は、他の組織における非実質細胞の空間的発現マップの再現にも用いることができる。

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