Review

統合ゲノミクス時代の精密がん医療

Nature Biotechnology 36, 1 doi: 10.1038/nbt.4017

精密がん医療は、腫瘍生検標本のゲノムなどの分子を解析することにより、がんの診断および治療を改善する。精密がん医療は、治療の選択肢を特定する以外にも、介入に対する腫瘍の応答を分子レベルで追跡し、薬剤耐性およびそれが起こる機構を見いだす。統合ゲノミクスでは、特定の遺伝子群、エキソーム、または患者の生殖細胞系列・腫瘍のエキソーム・腫瘍トランスクリプトームの3点セットの塩基配列解読が行われる。塩基配列解読技術の能力は向上し続けているが、医療機関でのゲノミクス主導の精密がん医療の普及は、物流、規制、財務、および倫理上の問題によって阻まれてきた。それでも、医療の場で応用される統合的な臨床塩基配列解読プログラムは、がん患者の臨床管理を改善する可能性を秘めている。

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