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ホスホロチオエートの立体化学的制御はアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性を大幅に高める

Nature Biotechnology 35, 9 doi: 10.1038/nbt.3948

薬物の立体化学的純度は、低分子医薬品では規格となっているが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)治療薬では、50万種類もの成分を含む立体異性混合物がいまだに存在している。これは、個々の立体異性体を分離することも、立体化学的に純粋なASOを合成することもできていないためである。本論文では、立体化学的、化学的に純度の高い治療用ASOが得られる大規模化可能な合成工程の開発について報告する。我々は、この方法を用いて、52万4288種類の立体異性体によって構成される薬物「ミポメルセン」の立体的に純粋な成分を合理的に設計して合成した。ホスホロチオエート(PS)の立体化学は、ASOの薬理学的特性に大きな影響を及ぼすことが示された。Sp型立体配置のPS結合がRp型に比べて安定化しており、この薬物の薬理学的不活性化を立体化学的に防ぐことも分かった。さらに、立体的に純粋なASOの立体化学的トリプレットコード「3′-SpSpRp」が明らかになった。これは、in vitroでRNase H1による標的RNAの切断を促進し、マウスで立体的にランダムなASOよりも持続性の高い反応をもたらす。

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