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病理学用に最適化された膨張顕微鏡法を用いる臨床検体のナノスケール画像化法

Nature Biotechnology 35, 8 doi: 10.1038/nbt.3892

膨張顕微鏡法(ExM)は、標本を物理的に膨張させることによって光学顕微鏡法の分解能を高める方法であるが、臨床組織検体には応用されていない。本論文では、臨床的に最適化された形のExMを紹介する。これは、ホルマリン固定、パラフィン包埋、ヘマトキシリン・エオジン染色や新鮮凍結を行ったヒト組織標本のナノスケールの画像化を支援するものである。我々がExPath(expansion pathology;膨張病理学法)と命名したこの方法では、臨床検体をExMに対応する状態に変化させた後で、臨床検体用に最適化されたタンパク質固定および機械的均質化の工程を含むExM法を応用する。ExPathは、従来の回折限界のある顕微鏡法ならびに標準抗体および蛍光DNA in situハイブリダイゼーション試薬を用い、無損傷組織に含まれるさまざまな生体分子の分解能約70 nmでの画像化を可能とする。我々は、これまで電子顕微鏡を必要とするプロセスであった腎臓の微小変化型疾患の光学診断にExPathを用い、さらに、病理学者の分類が食い違うことの多い早期の乳房腫瘍性病変をコンピューターによって高い忠実度で識別した。ExPathは、病理学および臨床研究でナノスケール画像化法を日常的に利用することを可能にすると考えられる。

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