Letter

ヘマグルチニン受容体結合部位を標的とする三量体インフルエンザ中和タンパク質の計算設計

Nature Biotechnology 35, 7 doi: 10.1038/nbt.3907

ウイルス表面糖タンパク質および細胞表面受容体の多くはホモオリゴマーであるため、全サブユニットを同時に結合させて高い結合活性を得たりサブユニットを互いに固定したりした、幾何学的に重なるホモオリゴマーの標的とすることができる可能性がある。適応免疫系は通常この戦略を利用することができないが、これは、個々の抗体結合部位が幾何学的に適切な配置となっておらず、単一の標的ホモオリゴマーの複数の部位に同時に結合することができないためである。本論文では、ホモオリゴマーの標的部位と正確に重なる結合機能性を有するホモオリゴマータンパク質集合体をコンピューターで設計するための一般的な戦略を紹介する。第1段階では、標的の単一部位に結合する小型のタンパク質を設計する。第2段階では、設計した結合部位が標的部位と重なるように、設計したタンパク質を組み立ててホモオリゴマーを作製する。この方法を用い、A型インフルエンザヘマグルチニン(HA)の保存された受容体結合部位と結合する三量体の高結合活性タンパク質を設計した。設計した三量体は、紙を用いる診断方式でHAを捕捉・検知し、培養細胞でインフルエンザを中和し、インフルエンザ接種の24時間前または24時間後の単回投与でマウスを完全に保護した。

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