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機能性有毛細胞を含む内耳オルガノイドをヒト多能性幹細胞から作製する

Nature Biotechnology 35, 6 doi: 10.1038/nbt.3840

ヒトの多能性幹細胞から内耳組織が誘導されれば、聴覚および平衡機能障害の治療薬候補のin vitroスクリーニングが可能になると考えられ、細胞を用いる内耳治療への細胞供給源となる可能性がある。本論文では、機能性有毛細胞を有する内耳オルガノイドへヒト多能性幹細胞を分化させる方法を示す。我々は、三次元培養系を用い、TGF、BMP、FGF、およびWNTシグナル伝達を調節して、単一の幹細胞凝集体から複数の耳胞様構造体を作製した。2カ月にわたってその小胞は、感覚ニューロンが支配する感覚上皮をもつ内耳オルガノイドへ発達した。さらに、CRISPR–Cas9を用いてATOH1-2A-eGFP細胞株を作製すると、有毛細胞の誘導が認められ、生じた有毛細胞は、自然の感覚有毛細胞と同等の電気生理学的性質を帯びることが示された。我々の培養系は、ヒト内耳の発達に関する研究、および内耳疾患の治療に関する研究を促進することが期待される。

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