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改変Cas9・シチジンデアミナーゼ融合体によるゲノムターゲッティング範囲の拡大と塩基編集精度の向上

Nature Biotechnology 35, 4 doi: 10.1038/nbt.3803

塩基編集では、触媒活性を欠く化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のCas9、シチジンデアミナーゼ、および塩基除去修復の阻害因子からなる融合タンパク質を使用することで、生細胞のDNAに一塩基変化が生じる。このゲノム編集法には、二本鎖DNA切断の生成またはドナーDNA鋳型の準備を必要としないという長所がある。今回我々は、天然のCas9、およびPAM(protospacer-adjacent motif)の特異性が異なる改変Cas9バリアントを使用して5種類のC → T(またはG → A)塩基編集因子を開発し、塩基編集の標的となる部位の数を2.5倍に増加させたことを示す。さらに、編集範囲の幅を約5ヌクレオチドからわずか1~2ヌクレオチドまで狭める変異型シチジンデアミナーゼドメインを含む塩基編集因子を作製したことにより、通常は同等の効率で編集されてしまうような近接Cヌクレオチドの識別が可能となり、近傍の標的外のCに優先して修正される疾患関連標的Cの数が倍増した。

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