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配列固有のエンハンサー応答性に関する一塩基対分解能での全ゲノム的評価

Nature Biotechnology 35, 2 doi: 10.1038/nbt.3739

遺伝子発現は、標的遺伝子のコアプロモーターからの転写を活性化させるエンハンサーによって制御されている。コアプロモーターはエンハンサー活性の遺伝子転写への変換という重要な機能を有するが、それがエンハンサーに応答して転写を活性化させるのかどうか、またどのくらい強く活性化させるのかに関しては、全ゲノムレベルでの系統的な評価が行われていない。本論文では、エンハンサーに対するゲノム配列の応答性を明らかにするSTAP-seq(self-transcribing active core promoter sequencing)という方法を紹介する。我々は、これをキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のゲノムに応用した。強力なエンハンサーがある場合およびない場合でレポータープラスミドのコアプロモーター(別名ミニマルプロモーター)の位置に候補断片をクローン化してから、得られたライブラリーを細胞にトランスフェクションし、それぞれの場合で各候補断片に始まる転写物を高性能の塩基配列解読法によって定量した。単一の強力なエンハンサーが存在する場合、エンハンサー応答性は配列によって桁違いに異なり、応答性のレベルの差は遺伝子の機能の違いと関連していた。我々は、エンハンサー応答性を予測する配列の特徴を明らかにし、さまざまなコアプロモーターが遺伝子発現の調節にどのように用いられているのかを検討した。

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