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体細胞マイクロサテライト挿入欠失の分析がヒト腫瘍のドライバーイベントを明らかにする

Nature Biotechnology 35, 10 doi: 10.1038/nbt.3966

マイクロサテライト(MS)は短いDNAモチーフによる可変長の反復配列鎖であり、反復モチーフの挿入または欠失という形で高率の変異を示す。MSは、広く存在するにもかかわらず、ショートリード配列解読データでの検出が困難であるため、がんに対する体細胞のMS挿入欠失の寄与はほとんど調べられていない。本論文で紹介する2つのツールのうち、MSMuTectは体細胞のMS挿入欠失を正確に検出し、MSMutSigは偶然に基づく予想を超える頻度でMS挿入欠失を含む遺伝子を発見するためのものである。20種類の腫瘍の典型例となるヒト腫瘍6747点の全エキソームデータにMSMuTectを応用することにより、がん遺伝子で過去に示されたことのないMS挿入欠失が1000カ所以上発見された。また、MS挿入欠失の数およびパターンからマイクロサテライト安定性腫瘍とマイクロサテライト不安定性腫瘍とが正確に識別されるため、臨床的に意味のある部分集団の分類が改善される可能性があることが示された。さらに、MS挿入欠失ドライバーのホットスポットが7カ所発見され、そのうち4カ所は既知のがん遺伝子(ACVR2ARNF43JAK1およびMSH3)に、3カ所はこれまでがんドライバーとしての関与が示されていなかった遺伝子(ESRP1PRDM2およびDOCK3)に位置していた。

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