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腫瘍の不均質性および単一の骨髄性白血病細胞のドライバー遺伝子をSBCapSeqで分析する

Nature Biotechnology 34, 9 doi: 10.1038/nbt.3637

腫瘍学には、変異遺伝子のさまざまな組み合わせによって規定される不均質な細胞集団を含む腫瘍をいかにして死滅させるか、という大きな課題がある。そうした変異遺伝子を特定してそれがどのように協働するのかを解明するには単一細胞の分析が必要となるが、PCRによる方法や全エキソーム塩基配列解読などの現在の単一細胞分析法は、偏りがあるか、配列解読の深度が不足しているか、さもなければ極端に高コストである。トランスポゾンによる変異生成では初期のがんドライバーが特定されるが、現在の塩基配列解読法には限界があり、単一細胞分析の妨げとなっている。本論文では、液相での捕捉に基づく塩基配列解読SBCapSeq(Sleeping Beauty [SB] capture hybridization sequencing;SB捕捉ハイブリダイゼーション塩基配列解読)とバイオインフォマティクスのパイプラインを示す。これにより、骨髄性白血病のSBマウスモデルの単一腫瘍細胞のトランスポゾン挿入部位の塩基配列解読が促進される。1つの腫瘍から得たわずか26細胞のSBCapSeq分析からその腫瘍の主なクローン亜集団が明らかにされ、他の塩基配列解読法では検出されなかったクローン挿入事象の検出が可能となり、主要なサブクローンが特定された。そのそれぞれには、SBによって発現が変化した3~6個の協働的がん遺伝子とともに、相互作用する固有の1対の遺伝子ドライバーが含まれていた。

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