Computational Biology

がんで頻発する変異の特定で幅広い系譜多様性および変異特異性が明らかにされる

Nature Biotechnology 34, 2 doi: 10.1038/nbt.3391

変異ホットスポットは腫瘍検体集団全体の選択圧を示すが、がんの種類内および種類間での広がりは十分には解明されていない。頻繁に変異を起こす遺伝子を発見する方法よりも、有意に変異している残基を検出する方法の方が、生物学的、治療的に意味のある新たなドライバー変異を発見する可能性がある。今回我々は、腫瘍検体で頻繁に変異している残基を特定する統計的アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを41種類、1万1119点のヒト腫瘍に用い、275個の遺伝子で470カ所の体細胞置換ホットスポットを特定した。全てのヒト腫瘍の半数は、系譜、位置、および変異アレル特異的に大きく異なる変異ホットスポットを1カ所以上有しており、その多くは機能性とみられることが分かった。合計243カ所のホットスポットが新規であって幅広い分子機能に影響を及ぼしていると考えられ、その中にはRas関連の小型GTPアーゼRAC1およびRRAS2のパラロガスな残基のホットスポットが含まれていた。変異アミノ酸の分解能でホットスポットの見直しを行うことは、その機能のアレル特異的な差を明らかにするのに役立ち、重要な治療的意味を有する可能性がある。

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