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ワタの殺虫性シダタンパク質発現によるタバココナジラミ防除

Nature Biotechnology 34, 10 doi: 10.1038/nbt.3665

タバココナジラミ(Bemisia tabaci)は、吸汁してウイルス病を伝染させることによって作物に害を与える。これまで遺伝子組換え(GM)作物に用いられてきた殺虫性タンパク質には、タバココナジラミに有効なものが存在しない。本論文では、食用シダの一種Tectaria macrodonta(Fee) C. Chr.から、タンパク質Tma12を発見したことを報告する。このタンパク質は、タバココナジラミに対する殺虫性を示し(in vitro摂餌試験の半数致死濃度 = 1.49 μg/ml)、亜致死量で生活環を阻害する。全可溶性葉タンパク質の約0.01%のTma12を発現する形質転換ワタ系統は、閉鎖圃場試験でタバココナジラミの蔓延に抵抗性を示し、収穫量の減少を示さなかった。形質転換ワタ系統は、タバココナジラミが媒介するワタ葉巻ウイルス病にもかからなかった。Tma12を与えられたラットは、組織学的にも生化学的にも検出可能な変化が認められず、このことは、Tma12にアレルギー誘発性ドメインの欠如が予想されていることと合わせて、タバココナジラミおよびそれが伝播させるウイルスを防除するためのGM作物の展開にTma12が十分に適している可能性があることを示している。

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