Computational Biology

有毒化合物に対するヒト集団の反応の共同コンペティションによる予測

Nature Biotechnology 33, 9 doi: 10.1038/nbt.3299

ヒトに対する有毒化合物の影響をコンピューターで予測することができれば、現在の化学物質安全性試験の不足が解消される可能性がある。本論文では、ヒト集団に健康上の悪影響を及ぼす可能性のある環境化合物の毒性予測を目的とする学界DREAMチャレンジの結果を紹介する。我々は、Tox21 1000ゲノムプロジェクトの一環として、遺伝子型および転写データが利用可能な884種類のリンパ芽球様細胞株で、156種類の化合物の細胞毒性を評価した。チャレンジの参加者は、ゲノムのプロファイルおよび化合物の構造特性に基づく集団レベルの細胞毒性データから、毒性反応の個人差を予測するアルゴリズムを開発した。提出された179通りの予測は、参加者には提供していない実験データセットで評価した。個々の細胞毒性予測は偶然を上回る弱い相関(ピアソンのr < 0.28)を示し、複雑な形質のゲノムによる予測と一致した。対照的に、別の化合物に対する集団レベルの反応の予測は相関が高かった(r < 0.66)。この結果は、リスク評価の精度は依然として最適に届かないものの、未知の化合物に伴う健康リスクを予測することができる可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度