Computational Biology

単一細胞遺伝子発現データの空間的復元

Nature Biotechnology 33, 5 doi: 10.1038/nbt.3192

空間的局在性は細胞の運命および挙動の重要な決定要因であるが、複雑な組織のすべてにわたって空間分解的かつ全トランスクリプトーム的に遺伝子発現プロファイルを明らかにする方法は存在しない。RNA染色法では少数の転写物しか分析されないが、全体的な遺伝子発現を測定する単一細胞RNA塩基配列解読法では細胞が本来の空間的状況から分離される。今回我々は、単一細胞RNA塩基配列解読データをin situのRNAパターンと組み合わせることによって細胞の局在性を推定するコンピューター解析法「Seurat(スーラ)」を紹介する。解離したゼブラフィッシュ(Danio rerio)胚由来の851個の単一細胞をSeuratによって空間的にマッピングし、空間的にパターン化された全トランスクリプトームマップを得た。複数の実験方法を利用してSeuratの精度を確認したのち、Seuratを用いて一連の典型的な発現パターンおよび空間的マーカーを明らかにした。Seuratは希少な細胞部分集団の位置を正確に突き止め、空間的に限定された細胞群および散在する細胞群の両方を正確にマッピングした。Seuratを応用することにより、さまざまな系の複雑なパターン化した組織の内部の細胞局在性がマッピングされると考えられる。

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