Perspective

RNA-seqとマイクロアレイのデータの一致率は化学的処理および転写物量に依存する

Nature Biotechnology 32, 9 doi: 10.1038/nbt.3001

差次的遺伝子発現の全ゲノム解析に関するRNA塩基配列解読(RNA-seq)とマイクロアレイの一致率は、さまざまな化学的処理条件による厳密な評価が行われていない。今回、網羅的試験デザインにより、イルミナ社のRNA-seqとアフィメトリクス社のマイクロアレイのデータを、複数の作用機序を代表する27種類の化学物質による程度の異なる変動を与えたラット3匹の同じ肝試料から得た。差次的発現遺伝子(DEG)または強化された経路に関する両プラットフォームの一致率は、処理の影響の大きさと直線相関する(R2 ≈ 0.8)。さらに、この一致率には、転写物量および作用機序の生物学的複雑性も影響する。RNA-seqは、定量PCRで評価されるDEGの検証でマイクロアレイよりも優れており(93%対75%)、その差は主に、低存在量転写物の高い精度によるものであった。しかし、作用機序を予測する分類子(classifier)の性能は、いずれのプラットフォームのデータで得られた場合でも同程度であった。したがって、検討した評価項目は、その生物学的複雑性、転写物量、およびゲノム解析用途とともに、トランスクリプトーム研究ならびに臨床および規制上の意思決定で重要な因子である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度