Perspective

六倍体パンコムギの3種類の同祖対立遺伝子の同時編集でウドンコ病への遺伝的抵抗性が付与される

Nature Biotechnology 32, 9 doi: 10.1038/nbt.2969

配列特異的ヌクレアーゼは倍数体ゲノムの選択的改変に応用されているが、複数の同祖対立遺伝子の同時改変は報告例がない。今回我々は、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびCRISPR(Clustered, regularly interspaced, short palindromic repeat)-Cas9法を六倍体パンコムギに用い、MLO(MILDEW- RESISTANCE LOCUS;ウドンコ病抵抗性遺伝子座)タンパク質をコードする3種類の同祖対立遺伝子に選択的変異を導入した。パンコムギの3種類全てのMLO対立遺伝子の変異によって自然個体群には見られない形質であるウドンコ病抵抗性が生じるかどうかの評価は、遺伝的重複のために行われてこなかった。本論文では、同じ植物体の3種類全てのTaMLO同祖遺伝子にTALENで誘導された変異がウドンコ病への幅広い遺伝的抵抗性をもたらすことを示す。さらに、CRISPR-Cas9法を用い、TaMLO-A1対立遺伝子が変異した遺伝子組換えコムギ植物体を作製した。また、TALENで生じた二本鎖切断の非相同末端結合によるパンコムギの選択的DNA挿入が可能であることも示す。今回の知見から、倍数体作物を改良する方法論的枠組みが得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度