Perspective

RNA精製によるドメイン特異的なクロマチン分離を利用する長鎖非コードRNAの構造および機能の解明

Nature Biotechnology 32, 9 doi: 10.1038/nbt.2943

ドメインレベルのRNA機能分析にふさわしい方法が不十分であるため、長鎖非コードRNA(lncRNA)の機能ドメイン構造はほとんど知られていない。本論文で紹介するdChIRP(domain-specific chromatin isolation by RNA purification;RNA精製によるドメイン特異的なクロマチン分離)は、対をなすRNA–RNA、RNA–タンパク質、およびRNA–クロマチンの相互作用を生細胞の各RNAドメインのレベルで分析する拡張可能な技術である。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)X染色体の遺伝子量補償に不可欠なlncRNAであるroX1のdChIRPでは、「3本指の手」のリボ核タンパク質のトポロジーが明らかになった。それぞれのRNAフィンガーは、クロマチンおよび雄特異的致死タンパク質複合体に結合してroXヌルショウジョウバエの雄の致死性を個別に改善することができ、染色体全体の遺伝子量補償に必要な最小RNAドメインが明らかにされた。RNAのゲノム局在化シグナルはdChIRPによって従来技術との比較で20倍以上改善され、その結合部位が染色体高次構造データと相関していることから、多くのroX結合遺伝子座が核テリトリーに集中していることが示された。今回の結果は、lncRNAの構造および機能がdChIRPによって高精度かつ高感度で明らかにされることを示唆している。

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