Perspective

再生医療の免疫学的障壁の克服

Nature Biotechnology 32, 8 doi: 10.1038/nbt.2960

同種異系細胞を用いる再生療法では、実質臓器や同種造血幹細胞の移植の場合と類似した免疫学的障壁が生ずる可能性がある。数十年にわたる臨床移植の経験により、再生医療に極めて有用な教訓が蓄積されており、そこからは細胞療法につながる寛容誘導療法を開発する方法が得られる。実質臓器および同種造血幹細胞移植以外の分野では、抗原特異的末梢性寛容の模倣や生体材料に基づく方法のように、免疫応答を制御するための新しい戦略が出現しつつある。新たな生体材料は、組織工学的構造物内の細胞の挙動を変化させたり、細胞および生体材料足場に対する宿主の免疫応答を抑制したりすることができる。自己反応性免疫細胞を抑制する方法も再生医療に寄与する可能性がある。最も革新的な解決策は、幹細胞生物学者、移植免疫学者、および材料科学者の緊密な連携によって発展すると考えられる。

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