Computational Biology

各種腫瘍のがんゲノムおよびプロテオームデータの臨床的有用性評価

Nature Biotechnology 32, 7 doi: 10.1038/nbt.2940

腫瘍の分子プロファイル解析によってがんの臨床管理が進歩することが期待されているが、分子データを従来の臨床的変数と組み合わせた場合の利点に関しては系統的な研究が行われていない。本論文では、がんゲノムアトラスプロジェクトから得た4種類のがんの検体953点のさまざまな分子データ(体細胞性コピー数変化、DNAメチル化、ならびにmRNA、マイクロRNAおよびタンパク質の発現)を用い、患者の生存率を遡及的に予測した。その結果、分子データと臨床的変数を組み合わせると、3種類のがんの予測が統計的に有意(FDR < 0.05)に改善されたが、その量的な幅は限定的(2.2~23.9%)であった。さらに分析すると、異なる種類の腫瘍は1例を除いてほとんど予測不能であることが明らかにされた。臨床関連遺伝子では、3,277例中2,928例(89.4%)の12種類のがんで1万281か所の体細胞変異が同定されたが、その多くは1種類の腫瘍の分析では明らかにならなかったと考えられる。この研究は、分子データを組み合わせた信頼性の高い予後予測戦略および治療戦略を構築するための出発点となり、オープンアクセスのモデル評価法のような資源を提供するものである。

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