Perspective
Cricetulus griseusの概要ゲノム配列によって明らかにされたチャイニーズハムスター卵巣細胞株のゲノムの全体像
Nature Biotechnology 31, 8 doi: 10.1038/nbt.2624
1957年に初めて分離されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、多くの治療用タンパク質の生産に適した宿主細胞である。CHO細胞株間の遺伝的異質性に関しては多々記録されているが、CHO細胞には統合的なゲノム資源が存在しないため、その遺伝子型の差に関するヌクレオチド分解能の体系的な特性評価は進展していない。本論文では、遺伝子を24,044個含むチャイニーズハムスターCricetulus griseusの雌の2.4 Gbの概要ゲノム配列を示す。また、CHO-K1、DG44、およびCHO-S系統に由来する6株のCHO細胞に関するゲノム配列の再解読ならびに解析も行った。この解析により、それぞれのCHO細胞株に欠損しているハムスター遺伝子が発見され、一塩基多型(SNP)370万か所超、挿入欠失551,240か所、およびコピー数多型7,063件が検出された。変異の多くは、アポトーシスのようなバイオプロセシングに関連する機能を有する遺伝子に存在していた。このような遺伝的多様性の詳細情報は、タンパク質生産のためにCHO細胞の研究および遺伝子操作を行う基礎となる標準としてのハムスターゲノムの有用性を強調するものである。