Perspective

刺激に対する転写応答性の基礎となる遺伝子変異からの分子回路解明

Nature Biotechnology 31, 4 doi: 10.1038/nbt.2519

個々の遺伝的変異は遺伝子の応答性を左右するが、それは複雑な分子回路への影響による場合が多い。本研究では、ゲノムおよび中間スケールの転写に関するプロファイル解析に電算的方法を組み合わせ、刺激に対する遺伝子の応答性を左右する変異(応答性量的形質遺伝子座;reQTL)を明らかにするとともに、分子回路図上でその変異の位置を特定した。我々は、この方法を組み換え近交系マウス系統由来の樹状細胞に応用し、病原体の要素に対する転写応答性の変化を追究した。その結果、特定の刺激と相関するreQTLが発見され、それが既知経路上に位置づけられた。例えば、ウイルス様の刺激に対しては、トランスに作用する変異が抗ウイルス応答の活性化因子として応答した。またRNA干渉を用いることにより、Rgs16が原因遺伝子であるらしいことがわかった。我々の方法は、刺激に対する応答を制御する回路内の遺伝的変異の基礎となるメカニズムを解明するための実験的・分析的方法を示すものである。

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