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倍数体作物種セイヨウアブラナの形質のアソシエイティブ・トランスクリプトミクス

Nature Biotechnology 30, 8 doi: 10.1038/nbt.2302

遺伝学的方法である関連解析は、形質を制御するゲノム領域を迅速かつ効率的に描出し、マーカーを提供することによってマーカー利用選抜による育種を推進することができる。しかし、作物には倍数体が多く、必要とされるマーカーの同定およびそのマーカーの順序付けに必要なゲノム配列の組み立てには困難が伴う。この困難を回避するため、我々はアソシエイティブ・トランスクリプトミクスを開発した。これは、トランスクリプトームの塩基配列を利用して、遺伝子の塩基配列と遺伝子発現量の双方に見られる系統間の変異を示す分子マーカーを同定してスコアをとり、形質に見られる系統間の変異との関連付けを行うものである。近年形成された四倍体作物であるセイヨウアブラナにこの方法を応用することにより、種子のグルコシノレート含有量に関する量的形質遺伝子座2か所のゲノム欠失が同定された。欠失領域は、シロイヌナズナの脂肪族グルコシノレート生合成を制御する転写因子HAG1(At5g61420)のオーソロガス遺伝子を含んでいた。この方法を用いることにより、ゲノムが複雑なものも含め、広範囲の作物への関連解析の応用が容易になる。

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