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一細胞レベルのRNAおよび個々の循環腫瘍細胞に基づく全長mRNA配列解読

Nature Biotechnology 30, 8 doi: 10.1038/nbt.2282

全ゲノムトランスクリプトーム解析は、組織、疾患、および細胞型に特異的な遺伝子発現を観測する目的で日常的に利用されているが、一細胞から発現プロファイルを得ることは技術的に困難である。本論文では、一細胞レベルにも応用可能な強力なmRNA配列解読プロトコル(Smart-Seq)を紹介する。既存の方法と比較すると、Smart-Seqは転写産物全体の解読範囲が改良され、そのことによって代替的な転写物アイソフォームの詳細な解析および一塩基多型の同定が促進される。我々は全RNA希釈系列に関して評価を行うことにより、一細胞トランスクリプトミクスに対するSmart-Seqの感度および定量的精度を明らかにした。一細胞からの遺伝子発現量の推定値ではノイズが増加するものの、差次的に発現する遺伝子が、細胞型ごとにわずかな細胞を用いて何百個も同定されることがわかった。黒色腫由来の循環腫瘍細胞にSmart-Seqを応用すると、明瞭な遺伝子発現パターンが確認され、その中には黒色腫循環腫瘍細胞のバイオマーカー候補が含まれていた。我々のプロトコルは、希少な細胞の全ゲノムトランスクリプトームのプロファイル解析を必要とする重要な生物学的問題を解決するのに有用と考えられる。

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