Perspective

症例研究としてのHIV-1によるワクチン開発のB細胞系列免疫原設計

Nature Biotechnology 30, 5 doi: 10.1038/nbt.2197

HIV-1外被を用いて免疫しても、保存されたエピトープに対して広汎に作用する中和抗体が誘導されないことが、HIV-1予防ワクチン作製では大きな障壁になっている。数年の長期にわたるHIV-1感染を経て広汎に作用する中和モノクローナル抗体(BnAb)を作り出すようになった被験者に由来するBnAbは、1つ以上の特異な性質を有している。宿主抗原に対する多反応性、広域な体細胞超変異、および長く可変的な重鎖第三相補性決定領域がその例であり、そうした因子はBnAbの発現を宿主免疫制御機構によって制限する可能性がある。HIV-1感染被験者からBnAbを分離し、コンピューターで設計したクローン系列を鋳型として利用することにより、HIV-1ワクチンの免疫原設計のための新しい方針が得られる。この方法は多くの感染病原体への応用が期待され、まれであるが望ましい成熟経路にB細胞を導くことができるワクチンの作製に有望である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度