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超並列レポーター分析法によるヒト細胞の誘導性エンハンサーの系統的分析および
最適化

Nature Biotechnology 30, 3 doi: 10.1038/nbt.2137

遺伝子解析および遺伝子工学の進歩には、転写調節コードの読み書きを学習することがきわめて重要である。本論文では、転写調節エレメントの系統的分析を容易にする超並列レポーター分析法(MPRA)を紹介する。MPRAでは、マイクロアレイで合成したDNA調節エレメントと固有の配列タグとをプラスミドにクローン化し、レポーター構築物のライブラリーを作製する。この構築物を細胞にトランスフェクションし、タグの発現を高処理能配列解読法で分析する。我々はMPRAを用い、ヒト細胞の2種類の誘導性エンハンサー(cAMP調節性の合成エンハンサーおよびウイルス誘導性のインターフェロンβエンハンサー)の2万7000種類を超える変異体を比較した。これにより、得られたデータが両方のエンハンサーの機能的転写因子結合部位の正確なマップを1塩基の分解能で明示することが、まず示された。次に、そのデータを利用して、この2種類のエンハンサーの定量的配列活性モデル(QSAM)の訓練を行った。その結果、2種類の細胞状態に由来するQSAMを組み合わせることにより、基礎的な活性を最小限にしながら誘導活性を最大化するなど、潜在的に相反する目的を最適化するエンハンサー変異体を設計することが可能となることがわかった。

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