Perspective

遺伝子にコードされた電子顕微鏡用レポーターとしての組み換えアスコルビン酸ペルオキシダーゼ

Nature Biotechnology 30, 11 doi: 10.1038/nbt.2375

細胞構造をナノメートルの分解能で撮像する方法としては電子顕微鏡法(EM)が標準的であるが、既存の遺伝子タグは、多くの細胞内区画で活性を示さなかったり光を必要としたりするため、使用が困難な場合がある。本論文では、あらゆる細胞内区画で活性を示して光が不要で遺伝子にコード可能なEMタグ「APEX」を紹介する。APEXは、強いEM用固定処理に耐えて超微細構造を良好に保存する28 kDaの単量体ペルオキシダーゼである。我々は、APEXが簡単で強力な標識法による各種哺乳動物の細胞小器官および特定タンパク質の高分解能EM撮像に有用であることを実証した。さらに、トポロジーに関して議論のある最近同定されたチャネル「ミトコンドリアカルシウム単輸送体(MCU)」のN末端またはC末端にAPEXを融合させた。この融合物によってEMではミトコンドリアマトリックス内のみにコントラストが得られたことから、MCUはN末端およびC末端がともにマトリックスに面していることが示唆された。APEX染色は光による活性化に依存しないため、標本の大きさや厚みによらず、あらゆる細胞タンパク質のEM撮像を容易にすると考えられる。

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