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ヒト多能性幹細胞上のSSEA-5グリカンに対する抗体によって奇形腫形成細胞を除去する

Nature Biotechnology 29, 9 doi: 10.1038/nbt.1947

ヒトの胚性幹細胞および人工多能性幹細胞(hESCおよびhiPSC)をはじめとするヒト多能性幹細胞(hPSC)の臨床応用には、残存する未分化細胞による奇形腫の形成という重大なリスクがある。我々は、hESCに対するモノクローナル抗体を作製し、抗発生段階特異的胎児性抗原5(SSEA-5)と命名した。これは、hPSC上で強く特異的に発現するこれまで未同定であった抗原、H1型グリカンに結合する。蛍光活性化細胞選別法(FACS)によるSSEA-5の発現に基づく分離により、分化が不均質な培養物の奇形腫形成能は大幅に低下した。奇形腫形成細胞をすべて確実に除去するため、我々は、分化時に発現のダイナミックレンジが広い別の多能性表面マーカー(PSM)、CD9、CD30、CD50、CD90、およびCD200を同定した。ヒト胎児組織の免疫組織化学的解析、およびマイクロアレイデータベースを対象とするバイオインフォマティクス解析の結果、そのマーカーの同時発現がhPSCに共通で特異的であることがわかった。SSEA-5および別の2つのPSMに対する抗体による免疫除去により、分化が不完全な培養hESCの奇形腫形成能は完全に排除された。

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