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特定の反応を監視する質量分析法がGRB2アダプターによってシグナル伝達の力学を
解明する

Nature Biotechnology 29, 7 doi: 10.1038/nbt.1905

シグナル伝達経路は、一般に誘導性のタンパク質間相互作用によって構成され、活性化した受容体を細胞質エフェクターと結びつけるアダプタータンパク質によって媒介される。しかし、そのようなネットワークが構築および分解されて特定の細胞応答を生ずる仕組みに関する定量的なデータは、ほとんど存在しない。この問題を解決するため、我々は、質量分析法の一種である親和性精製選択反応モニタリング法(AP-SRM)を考案し、これを用いて、細胞機能のさまざまな局面に関与する極めて多様なタンパク質複合体に属するアダプタータンパク質GRB2とタンパク質が行う相互作用の変化を総合的かつ定量的に分析した。我々のデータは、刺激後にGRB2の周囲に形成される状況特異的で時間依存的なネットワークを確実に明確化し、HEK293T細胞中でGRB2と相互作用することがわかった90種類のタンパク質を含むコア複合体および成長因子選択的な複合体を明らかにする。主要なハブタンパク質の捕捉およびSRMによる相互作用の分析は、どちらも同じように、
タンパク質相互作用ネットワークのさまざまなハブに関するシグナル伝達の力学の定量化に適用することができる。

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