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マウスの手術時に末梢神経を強調する蛍光ペプチド

Nature Biotechnology 29, 4 doi: 10.1038/nbt.1764

神経の保存は、手術時の重要な目標である。それは、偶発的な切断や損傷が、しびれや疼痛、脱力、麻痺などの重大な障害をもたらすためである。通常、神経は外観および周囲の構造との関係によって見分けられたり、局所的な電気刺激によって検知されたりする(筋電図検査法)が、細かったり埋もれていたりすると見逃される場合がある。今回我々は、ファージディスプレイ法を用い、優先的に神経に結合するペプチドを選択した。蛍光標識したそのペプチドをマウスに全身投与すると、2時間以内にすべての末梢神経が明瞭に可視化された。神経と周辺組織とのコントラストは10倍に向上し、実用的なコントラストが最長8時間持続した。処理後、行動および活動に変化は認められず、明らかな毒性のないことが指摘された。この蛍光プローブは、ヒト組織検体中の神経も標識した。蛍光による強調化は軸索の完全性とは無関係で、このプローブが、損傷した神経の外科的修復を容易にし、偶発的な切断を予防する一助となる可能性が示唆された。

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