Perspective

ヒト人工多能性幹細胞テストセットの
機能解析

Nature Biotechnology 29, 3 doi: 10.1038/nbt.1783

ヒト人工多能性幹(iPS)細胞は、発生研究およびin vitro疾病モデル作製のための絶好の材料となっている。しかし、iPS細胞の挙動にはばらつきがあることが明らかにされており、その利用には疑問が生じている。我々は、年齢、性別、健康状態が異なる7人に由来する16個のiPS細胞系列のテストセットを構築し、各系列の多能性および最終分化能力を詳細に解析した。2つの独立した研究施設での標準化された処理の結果、iPS細胞系列のうち13個は、ヒト胚性幹(ES)細胞と同等の分化効率で機能性の運動ニューロンに分化した。3個のiPS細胞系列は神経分化に抵抗性を示したが、神経誘導過程を早めることで分化が誘導された。したがって、16個すべてのiPS細胞系列が、核型、ならびに初期多能性マーカーおよび導入遺伝子の発現に差があるにもかかわらず、分化能力を判定する厳密なテストを通過した。このiPS細胞およびES細胞のテストセットの結果は、幹細胞の基礎生物学やその応用に関心を寄せる研究者にとって朗報と言える。

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