Perspective

HDAC阻害剤のケモプロテオミクス特性
解析によるHDAC複合体の選択的標的化の解明

Nature Biotechnology 29, 3 doi: 10.1038/nbt.1759

抗がん性および抗炎症性を有する選択的ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の開発は、依然として困難である。それは主として、小分子とメガダルトン級のタンパク質複合体との相互作用を探るのが困難なためである。新規の有糸分裂脱アセチル化酵素複合体(MiDAC)など、ELM-SANTドメインサブユニットを足場とする複数のHDAC複合体を、16種類のHDAC阻害剤が標的とするときの選択性が、親和性捕捉法と定量的質量分析法を組み合わせることによって明らかにされた。阻害剤は、アミノベンズアミドが、HDAC Sin3複合体以上に、HDAC NCoR複合体と強く結合する標的特性に従ってクラスターを形成した。我々は、ヒドロキサム酸阻害剤の非HDAC標的を数種類同定した。独自の特性をもつHDAC阻害剤は、下流の標的にそれぞれ異なる影響を与える。さらに我々は、抗炎症薬ブフェキサマックをクラスIIb(HDAC6、HDAC10)HDAC阻害剤として同定した。このアプローチは、新規の標的および阻害剤の発見を可能にし、HDAC阻害剤の選択性が、精製された触媒サブユニットではなくHDAC複合体を対象として評価されるべきであることを示唆する。

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