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SIRPAはヒト多能性幹細胞から誘導された心筋細胞を分離するための特異的な細胞表面マーカーである

Nature Biotechnology 29, 11 doi: 10.1038/nbt.2005

ヒト心筋細胞に特異的な細胞表面マーカーを同定するため、我々は、ヒト胚性幹細胞(hESC)から誘導された心血管細胞集団を対象に、370個の既知のCD抗体群に対するスクリーニングを行った。このスクリーニングで、シグナル調節タンパク質α(SIRPA)がhESCおよびヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)から誘導された心筋細胞上に特異的に発現するマーカーとして、またPECAM、THY1、PDGFRB、およびITGA1が非筋細胞集団のマーカーとして同定された。SIRPAに対する抗体を用いる細胞選別により、hESC/hiPSC分化培養で生じた心臓前駆細胞および心筋細胞の濃縮が可能となり、心筋トロポニンT陽性細胞を98%も含む集団が得られた。平板培地で培養すると、SIPRA陽性細胞は収縮し、長期間にわたって維持された。今回の結果は、ヒト多能性幹細胞培養液から心筋細胞の集団を分離する簡単な方法をもたらし、それにより、純度の高い多数の治療用心筋細胞群を得るための適応性の高い技術を確立するものである。

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